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 これまでのストレスや精神疾患に関する研究は、医学を中心にして進められてきており、食や睡眠、運動、園芸作業、動物との触れ合いなどの生活スタイルに根付いた多様かつ多角的な学問的領域の連携が十分であったとはいえません。

 この様なことから、農と食と心身の健康を「心身の健康科学」ととらえ、生活基盤に根付いた多様かつ多角的な研究を推進することが、日本が抱える課題解決に向けて必要となっています。

 農医連携事業では、3大学(茨城大学、茨城県立医療大学、東京医科大学茨城医療センター)の特色を活かした、心身の健康を維持・改善する農医連携研究を推進します。

 これにより、茨城大学農学部の機能強化を図るとともに、農と食と心身の健康に係る「心身の健康科学」の創設に向けて、3大学が連携して時代にマッチした新しい横断的学問分野の「知」の体系化と教育研究体制基盤の構築を図ることを目的としています。

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 3大学連携ラボラトリーを設置し、心身の健康に関する研究を推進することで「心身の健康科学」の体系化を進めるとともに、更なる教育研究資源の連携とシェアの充実を図ります。連携ラボ内部には、コーディネーターと3大学の主任研究者からなる「連携ラボ運営会議」を設置し、連携ラボの運営や研究テーマに関する様々な意思決定を行います。

 また、コーディネーター役を担う研究者を学外から招へいするとともに、外部の専門家等をメンバーとする「アドバイザリーボード」を設置し、教育研究資源の連携とシェアに関するルール設定や研究テーマに関する自己点検評価を行うなど、農医連携研究の推進体制を整備します。

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 農業産出額全国2位の茨城県産農産物を日本人に日常的に供給される多種多様な食糧のモデルとしてとらえ、心身の健康を維持・改善する天然物シーズとしての視点で探索収集します。

 抗酸化活性を示すポリフェノールの一種であるアントシアニンの合成に関わるQTL座をモデル植物であるアサガオにおいて明らかにしました。フクレミカン、レンコン、ウメ,ブルーベリーなどの茨城県産作物を収集し、収穫時期、利用部位、品種によるポリフェノール含有量や抗酸化活性の違いを明らかにしました。
 このうちフクレミカンおよびレンコンについては、サブテーマ3による動物行動解析実験に移行しています。さらにフクレミカンにおいては、フラボノイドの含有量の高い果皮を用いて、その機能性を生かした菓子パンを試作しました。

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 精神疾患患者や高齢者を対象に、非侵襲的な生理的解析装置(活動量計等)を用いて、園芸作業や動物との触れ合いが人の生理的活動に与える影響を解析します。
 また、茨城大学農学部附属フィールドサイエンス教育研究センターを活用した園芸療法及び動物介在療法の実証試験を行うことで、作業療法による症状の改善と脳の活動変化を観察し、園芸療法、動物介在療法の客観的評価法を開発します。

 精神科デイケアでの園芸活動は障がい者の心的ストレス緩和効果が認められました。また、ウシの管理作業は心理・生理的状態を改善し、特に直接ウシをなでる「ブラッシング」にはリラックス効果がある事が確認されました。
 園芸活動は、精神科デイケアの障がい者に適度な運動を提供し、農産物を通じた地域とのコミュニケーションの増加など生活の質を向上させることが認められました。

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 農産物の心身の健康維持・改善機能を評価するため、農産物やその機能性成分を用いた栄養試験をマウスを用いて実施しています。

 現在、茨城県特産品のなかでも特にフクレミカンやレンコンの健康機能性に着目しております。 まだ動物実験の段階ですが、未熟フクレミカンの果皮に抗肥満作用があることを見出しています。

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 物理的ストレス(音、振動等)を自動的にマウスに負荷する装置を開発し、うつ病や睡眠障害など心身の健康不全モデルマウスの作製が可能となるシステムを立ち上げます。
 また、モデルマウスの行動および生理特性、生化学、分子生物学的特性を多角的に解析し、健康不全の状況を把握します。

 社会的敗北ストレスモデルマウスを作製し、その行動・生理学的指標を評価することによって、慢性的なストレスによって、体重・摂食量・飲水量・体水分率の増加、社会的接触行動の低下、巣作り行動の遅延、肝臓代謝産物の変動を示すことが明らかになりました。飼料環境の違いによって、本モデルの社会的接触行動が変化することが分かりました。また、マウスの本能行動を客観的に解析するために、3Dセンサを用いた巣作り行動の評価システムを構築しました。

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